伊藤園(2593)の二〇〇三年四月期の連結営業キャッシュフロー(CF、現金収支)は八十五億円前後と過去最高になりそうだ。在庫圧縮を進めるほか、八月から取締役の退職金と賞与を完全になくすことがプラスに働く。設備投資を減価償却費の範囲内に抑えることでフリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)も過去最高水準に拡大する。
今期の営業CFは前期を五%程度上回る見通し。純利益が十一億円増えるほか、百八十ある支店別の収益管理を導入したことで、緑茶「お〜いお茶」など主力商品の在庫回転が好転しており、棚卸し資産(前期末で百六十億円弱)の圧縮を見込む。
取締役の報酬体系をより業績連動型とすることも寄与する。取締役の退職慰労金と賞与の制度を七月いっぱいで撤廃し、代わりに役員報酬としてストックオプション(自社株購入権)を導入する。営業CFを三億円程度押し上げるとみられる。
投資CFも前期に現地法人を設立した米国での投資が一服したことなどから、十五億円程度の赤字(前期は十七億円の赤字)に改善する見通しだ。今期の設備投資は八億円弱と前期より三三%減る予定で、十二億五千万円強を見込む減価償却費より大幅に抑える。工場を持たずに生産委託方式をとっているため大型の資金需要が少ないことが背景にある。
FCFは七十億円前後の黒字(前期は六十四億円の黒字)となる見通し。FCFの一部を使い、初の自社株買いを実施する。最大二十五億円を投じて、六十万株(発行済み株式の約一%)を上限に市場から買い入れる。
前期末時点の現預金が有利子負債残高を百十四億円上回っており、余剰資金を株主還元に有効活用することにした。
ニ〇〇七年四月期には株主資本利益率(ROE)を一七%(前期は一四%)に、一株利益(EPS)を二百五十円(同百四十八円)に引き上げることを目指す。
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