日本飲料業界 > 伊藤園 
伊藤園  利益率悪化で軟調   
「お〜いお茶」盛り返す

株価は軟調な展開。一月につけた年初来高値を約二割下回る四千四百円前後で一進一退している。得意とする無糖茶市場で競争が激化したことや米同時テロの影響で米子会社の立ち上がりが遅れ、利益率が悪化したためだ。

六月十一日発表した二〇〇二年四月期決算は営業利益が連結で前の期比三%減、単独でも二%増にとどまった。同日、取締役の退職慰労金と賞与制度を七月いっぱいでやめ、代わりにストックオプション(自社株購入権)を役員報酬に用いる改革も発表したが、反応薄だった。

しかし、ここにきて業界内での優位を回復しつつある。好材料は押され気味だった緑茶首位の「お〜いお茶」が五月ごろから盛り返し、シェアを回復している点。販売数量は五−六月累計で前年同期比一三%増。競合他社が年初から一斉に投入した緑茶や中国茶の新製品の多くが振るわず、小売店でお〜いお茶の売り場スペースが増えていることが背景にあるようだ。棚卸し資産回転率も改善しているもよう。

お〜い番茶の年間売上高は前期で八百億円弱。連結売上高の四割近くを占める主力商品だけに、前期はお〜いお茶のシェアが前の期より二ポイント強下落し、約二八%となったことが響いた。

本庄八郎社長は「早期に三五%に引き上げ、来期は四〇%を目指す」とお〜いお茶のシェア回復を最重要課題にあげている。

 リスク要因は販売経費の抑制が目標通りにできるかどうかと天候。今年はエルニーニョ現象の発生で冷夏も予想され、最需要期の夏場の販売動向が焦点だ。販売経費については前期に前の期比一四%増となった販売手数料を今期は六%程度の増加とする計画。ただ飲料業界の低価格競争はまだ収まる気配がなく、販売経費を抑えすぎるとシェア下落を招きかねない。

予想連結株価収益率(PER)は二十五倍強。前々期の三十一倍から下がってきた。食品業界の平均は二十一−二十三倍程度。モルガン・スタンレー証券の出村泰三アナリストは「お〜いお茶の今期の販売目標(数量ベース)は五%増だが、足元の堅調さをみると通期で一四%程度は伸びそう。株価は五千百円程度が妥当」とみて買い推奨している。

 (連結業績などのグラフ省略)

  2002/07/24 日経金融新聞 より
Home 当社について メール 免責条件 sanpuku trade co.ltd. All rights reserved.